獣は月夜に夢を見る

2016.4.16(sat.)ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次 Roadshow!

僕は君のそばにいる。たとえ君が"何者"でも―

少女の純粋で獰猛な愛が、閉ざされた村に隠された秘密を暴いていく… 恐ろしくも 美しく 儚い ノルディック・ミステリー

PROFILE

INTERVIEW WITH DIRECTOR

―初長編監督作としてこの作品を選んだ理由は?

僕は、何よりもクラシックな大人向けの映画を作りたかった。隔絶したコミュニティの特殊な環境下で生きる若い人物のリアリスティックな肖像画を描くことだ。我々は彼女が大人の女性へと変貌していく過程を目にする。彼女の内なる暗部が彼女を捉え、彼女はイノセンスを失う。『獣は月夜に夢を見る』が本当に提示しているのは、内面的なストーリーだ。僕らは映画の鍵となる人物のパーソナルなドラマと心理的交流に焦点を合わせた。女性の主人公のマリーが、劇中で様々なプレッシャーや経験にさらされたあとに、どこにたどり着くかを見てみたかったんだ。観客を恐怖させることを主眼とした映画を作ろうとは一度も思わなかった。ストーリー上の必要性から、話の筋は恐ろしい方向へと向かう。だがこの作品には、より多くの寓話的もしくは魔術的なリアリズムが含まれている。

―主役に新人を起用した理由は?

ソニア・ズーに会った瞬間から、僕には彼女が並外れた才能の持ち主であることが分かったんだ。ソニアにはすばらしいカリスマと独特の雰囲気があり、彼女こそがマリーだった。ソニアの強みは、言葉を使わずに感情を表現できることだ。寡黙な環境を象徴するような女性。ただ顔を見るだけで、彼女が何を考えているのかが分かる。彼女の物腰や外見には、何か神秘的であいまいな、きわめて魅惑的なものがある。ある瞬間に普通のデンマークのティーンエイジャーのように見えたかと思えば、次にはフェミニンで脆い夢のような女性に変わっていて、その次に今度はほとんど中性的だったり、動物的に見えたりする。

―映画にふさわしい雰囲気を作り上げるために、どんな手法を用いましたか?

環境は極限までリアリスティックに見せる必要があった。だがその目的は、デンマークの社会派リアリズム映画を再現することではなかった。僕は美しく詩的なイメージを作ることにも惜しみない努力を払ったからね。劇中の台詞は最小限に抑えようと最初から狙っていた。僕の経験から言って、映像は千の言葉を物語る。台詞そのものよりも、台詞と台詞の間を使って、その場で起こっている物事を示したかった。寡黙な環境は、それだけで自ずと漠然とした不穏な予感を作り出す。そしていざ恐ろしいシーンになったときも、その際立った対比のおかげでずっと強烈な印象を与えるんだ。

―観客には映画を観てどんなことを受け取ってほしいですか?

観客にはおとぎ話とその舞台を楽しんでもらうことを願っている。1人の若い女の子のストーリーに感動してほしい。彼女はこの時に置かれている人生の状況においては、自らの内なる獣を解き放つことしか選択肢がない。あらゆる暴力のさなかにあるのは、実は美しく驚異的なストーリーだ。若い世代の観客がそこに共感してくれることを願う。


1974年、デンマーク・コペンハーゲン生まれ。
オルタナティブ映画学校の“Super16”で監督術を学んだ後、ラース・フォン・トリアー監督の『奇跡の海』(97)『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(00)で、美術アシスタントを務める。ミュージックビデオ、短編映画、テレビCMなどの監督を務め、世界各国の映画祭で数多くの賞に輝いている。本作が初長編監督作。
インタビュー

1994年生まれの新進気鋭の女優。デンマークのユトランド出身で、本作のロケ地の近郊で生まれ育つ。12歳の頃より様々な演劇活動に関わり、演劇プログラムのシアター・タレント・ノルド(Teater Talent Nord)に参加。本作が映画デビュー作で初主演を務めた。

1964年、デンマーク生まれ。デンマーク国立演劇学校卒。1995年以来、40本以上の演劇作品に出演。舞台で活動するかたわら、数多くのテレビシリーズと長編映画にも出演。大成功を収めたデンマークの犯罪ドラマ『THE KILLING/キリング』で称賛を得て、その後も数多くの長編作に出演。10年には『Headhunter(原題)』(09・未)で、デンマーク・アカデミー賞の主演男優賞を授与される。2013年には、ヒットシリーズ『SHERLOCK(シャーロック)』のシーズン3で、メインの悪役に起用された。

1974年、デンマーク生まれ。南デンマーク音楽映画芸術アカデミーを卒業後、デンマーク王立劇場を筆頭に、数多くの作品に主演。映画では『しあわせな孤独』(02)、『特捜部Q 檻の中の女』(13)では主役を務め、国内外で多数の賞の受賞およびノミネート歴がある。最新の出演作は、トミー・リー・ジョーンズ監督、ヒラリー・スワンク、メリル・ストリープと共演した映画『The Homesman(原題)』(14・未)。

1986年、ノルウェー生まれ。オスロの国立演劇学校を当時最年少で卒業後、デンマーク国立演劇学校で学び、ノルウェー映画『コン・ティキ』(12)でブレイクを果たした。2014年には、ベルリン国際映画祭でシューティング・スター賞を受賞。北欧で人気を博したテレビドラマ『ザ・ブリッジ/The Bridge』(13)に出演した他、今後もTVドラマ、映画と数多くの話題作に出演している。